Twitterでは「こんなはずじゃなかった」「辛い、辞めたい!」と1年目教師の悲痛な叫びをよく目にします。
教師を夢みて、晴れて教師になったのに…本当に悲しいことです。
そして、忘れてはいけないのは、その裏にはクラスの30人以上の子どもたちがいるということ。
この記事では、元教師の視点から新卒教師がなぜ苦しむ理由を説明していきます。
担任業務はベテランも新卒も同じ
3月に卒業し、翌月の4月から晴れて教壇に立つことになります。担任として学級経営と教科指導をベテラン教師と同じようにこなさなければ無なりません。
子どもたちにとってベテランも新卒の1年目も担任は担任。
日々の授業も学級経営も事務仕事もほぼ同じ分量の仕事があります。
新卒教師はベテラン教師とほぼ同じ仕事量がある。この前提条件は新卒教師を苦しめます。
大学の講義は現場では役に立たない
多くの大学では現場で役立つような実践的な学びはありません。
私は国立の教員養成の大学でしたが、現場で役に立った学びと言えば、教育実習くらいでした。
小学校は国語・算数、理科、社会、他技能科目など教科が多いため、免許取得のための単位もそれなりにたくさんあります。
単位取得のためには講義に出席し、レポートや試験をパスする必要があります。
専門的すぎる内容を受け、小難しいレポートや試験がたくさんありました。
ただ、教育法の歴史や変遷、国が出す指導要領の研究、など…現場では1mmも役に立たないのですが^^;
加えて、教員採用試験…
小学校教師になるには大学等で(非実践的な)免許を取得し、それに加えて、各都道府県が行う教員採用試験に合格する必要があります。
今は教員不足で定員割れするような県もありますが、私が受けていた頃は地方などは倍率が10倍を超えるような県もありました。
一次試験は学科がメイン。これも現場では役に立たないペーパーテスト。それでもかなりの時間を通して学びました。
一次試験を晴れてパスすると二次試験が待っています。
二次しけんは面接と模擬授業や実技試験です。模擬授業は、試験官が子ども役になり、授業の一場面を演じるような試験です。実技試験は、県によって異なりますが、体育では、水泳や体操の種目。音楽では、ピアノを弾くような試験もあります。
戦闘力1として現場へ
かなりの時間と労力を投資して教員採用試験をパスするわけですが、大学を卒業したばかりの新卒の教師は本当に非力です。
それも当然で、現場では大学や教員採用試験で費やしてきたことと、全く別の業務をすることになります。それも膨大な量の仕事を。
特に4月のはじめは怒涛です。春休み明けの始業式まで、準備できる日が4〜5日しかありません。
その大半の業務は年度初めの事務作業や、クラスの環境づくりと入学式準備など未知の業務にパニック状態です。
教師も子どもも不幸
ほとんどの新卒の教師は自分の見てきた教師像と現実の業務のギャップに苦しみます。
テレビの影響から熱血教師だったり、優しく温かい教師だったりと何かしら理想のイメージを持って教壇へ立ちます。頭の中では、子どもたちは笑顔で慕ってくれるはずです。
しかし、あまりの業務の量に忙殺され、心の余裕は無くなり、子どもの話を聞く余裕もなくなっていきます。
管理教育が主体の日本では、きちんと礼儀正しい子どもを育てなければいけないという暗黙のプレッシャーがあります。
先輩教師や初任者指導の教師(新卒に週2日ほどついえ指導してくれる方)から、
「しっかりさせなきゃダメだよ。」
「はじめが肝心だよ。
と、あれやこれや注文を受けます。右も左も分からない、新卒教師は全てを鵜呑みにするしか無いので、「良い姿勢で座らせなきゃ!」「返事をきちんとさせなきゃ!」と子どもたちを管理していきます。
気づけば、子どもたちを注意してばかり。
そして、授業…
大半の新卒教師は全くうまくいきません。
何年やっても良い授業なんて出来ないのに、新卒教師に、しかも準備も研修もままならない教師にうまくできるはずがありません!無理ゲーって話です!
分からない授業やつまらない授業を繰り広げて、子どもたちの目はどんどん死んでいきます。そして、子どもたちの心はどんどん離れていきます。
4月から日々の業務や残業に忙殺されて、やっとの思いでゴールデンウィークへ
その頃には、クラスは荒れ、新卒教師の心もすっかり疲弊してしまうのです。
こうして、晴れて教師になっても、夏休みに辞めてしまったり、病気になって休んでしまったり、Twitter上で「辞めたい!辞めたい!」を繰り返したりする教師が生まれてしまうのです。
これは、本人にとっても不幸ですが、そのクラスの子どもにとっても大変不幸なことです。
程度の差はありますが、このような悲しいことが全国の小学校で起きているのです。
文部科学省へ
☆提案1 担任を持たずにサポート教師として学ぶ機会を!
担任業務は膨大です。大学出立ての新米教師が、ベテラン教師と同じ量の仕事をこなすなんて無理に決まっています。
中でも特に厳しいのは授業。
毎日5・6時間の授業を準備するのは至難の技です。会議や学年の仕事、その他の事務仕事が優先されるため、準備ができるのは退勤時間の17時以降^^;
そこで、
教師1年目は担任を持たずサポート教員として勤務すべきだと考えます。
メリット
◯様々なクラスの授業を参観して授業を学ぶことができる
◯先輩教師の手伝いをすることで、様々な業務を覚えることができる
◯子どもたちが退屈な授業、分からない授業を受けなくて済む
◯学級崩壊を防ぎ、新卒教師の離職を防げる
などなどたくさんのメリットがあるはずです。教師のためにも、子どものたちのためにも必要な対策だと思います!
☆提案2 大学時代に実践的な内容に変えて!
教員免許の内容をより実践的な内容にすべきです。
教育実習だけでは、現場に立つ実践力は身につきません。
小難しい試験やレポートでは、子どもたちの前には立てません。
必要なのは実践力!!
インターン制度を採用するなど、長期で現場で業務を行ったり、現場の授業を参観する機会を増やすなど講義の工夫はいくらでもできるはずです。
戦闘力1ではなくせめて戦闘力10以上になるように学生を育てるという意識を大学(文部科学省)は持つべきです。
教師が幸せなら、クラスの子どもたちも幸せです。
新卒教師が自信をつけて子どもたちの前に立てるように、文部科学省には対策を急いでほしいです!