逸脱と正常化
子どものわがまま、暴言、暴力、癇癪、いじけるなどのいわゆる不適応行動を
モンテッソーリ教育では「逸脱」と呼びます。
「逸脱」は特別なことではなく、どんな子どもに起きます。
一方「逸脱」状態から、正常な状態に戻ることを「正常化」と呼びます。
正常化とは本来の発達に戻ることで、脇道にそれた状態から、正しい道に戻っていくというイメージです。
集中と繰り返し
モンテッソーリ教育では「正常化」するためには、集中と繰り返しが必要と考えます。
心から没頭できることを、好きなだけ何度も繰り返し集中することで、子どもは内面から満たされて、精神的に安定します。
大人でも思い当たる節があるかと思います。
気持ちが落ち込んだ時、好きな音楽に没頭したり、本を読んだり、スポーツをしたりすると気分が晴れるのと似ています。
実習先での出来事
モンテッソーリ教師になるために、ある幼稚園にて実習をした時のことです。
朝、ある年少さんの男の子A君が、不機嫌そうにクラスに入ってきました。
そして、「今日は何もしない!」と宣言していました。
※モンテッソーリ園では、登園した子から自由に活動(お仕事)を選んではじめます。
A君は体操教室が大嫌い。
体操教室のある水曜日は登園しぶりをするくらいだそうです。
そのため、何もやる気が起きなかったのでしょう。
宣言の通り、A君は何もしませんでした。
私は何度か、活動に誘ってみましたが、首を振られてばかりでした。
何度目かのトライで、A君がこれならやってもいいという感じで活動に誘い込むことに成功しました。
その活動は「ひみつ袋」と言って、巾着袋の中にいろいろな物が入っていて、手を入れて中身を当てる活動です。立体識別感覚を養う活動です。
※立体識別感覚(物の全体を触って、その物の形を認識すること)
それを私がやり方を見せ、一緒に行いました。
一度、活動を終えるとA君は
「もう一回やる。」
二度目も、「もう一回やる。」
三度目も、「もう一回やる。」と、その時、体育教室の時間になってしまったのです。
いつもは、泣いたり癇癪を起こすと聞いていました。
しかし、その時はすんなりと列に並びホールに移動することができました。
その後も、少し涙目になることはありましたが、みんなと同じように体操教室に参加していました。
私は、これがある種の「正常化」だと実感しました。
思い起こせば、我が子も不安定な時、レゴに熱中した後は穏やかになっていることがありました。
お子さんがイライラして不安定な時ってありますよね。
そんな時は一緒にイライラするのではなく、集中できることを見つけ、観察してみると「正常化」が見られるかもしれません♪